演奏家のための基礎講座4

演奏家のための基礎講座4

〜演奏にのぞむ姿勢と準備〜


先週の木曜に銀座アンクでやったセミナーです。

今回は楽器も無く、一時間しゃべり倒しましたw

フツーにセミナーやってた感じですねw


でも今回、一般のお客様に

「今回の話は全ての人に通じることだから、演奏家に区切らないでいろんな人に向けてやった方が良いと思いますよ」

って言われたので、これは動画チャンネルで出す内容としてぴったりかなーと思いました(笑)


あ、動画チャンネル、今週開設します!!


ということで今回の内容は題名にあるように「演奏にのぞむ姿勢と準備」。

アンクのマスターのご要望だったのですが、マスターには「これは本当にうちの出演者に聴いてほしい内容です」と言われました。


最初は一般的に「緊張や不安」を消すにはどうしたら良いかという話を論文を元に簡単に解説。これは導入部分で、別に他でも色々と調べられることなので紹介してさらっと流しました。

今回はこの本からも引用しました。


自分に対する姿勢」というところで


 演奏者は自分自身を第一に音楽家であり、第二に人間だと見る傾向がある。


というところがあるんです。

これって実は演奏家にとても多いんです。

そこでアメリカのファゴット奏者の言葉が載っています。


ジョン・スタインメッツ(John Steinmetz: bassoonist, composer, writer, satirist, speaker、アメリカ)のエッセイより

「我々多くの音楽家は、自分の価値や尊厳を見定めるのに大変な過ちを犯しています。すなわち、演奏の良し悪しが全てなのです。演奏が本当に良いものでなければ人として価値がないと、どこかに線を引いてしまいます。演奏がひどければ、我々は価値のない人間のクズなのです。」


これは演奏をずっとやってきた人だからこそ陥りやすい価値観です。また、アマチュアでも中高の吹奏楽部を筆頭に、大学のオケ、吹奏楽、一般のアマオケなどでも結構います。

このBEYOND TALENTの中で下記のように書かれています。


自分の演奏と自分自身の自信や尊厳を結びつけている限り、自分で自分をまずい方向に追い込んでしまう。


これは本当にその通りなんです。なぜか 演奏=人間的価値 と考えるひとが多くいます。

というか、一回はそう考えた人が多いでしょう。

私自身もそう考えていた時期があります。


でも実際はそうではないのです。


例えばある本番で失敗した。それを引きずって次の本番も暗く自分の価値を落としたまま演奏に臨んで上手くいくわけがありません。


そして演奏の出来がその人自身の価値を落とすわけがありません。

演奏が先に来て、人間があるわけではありません。

人間があって演奏があるのです。演奏はその人間の行為の一つであり、人間すべてを支配することなんてないんです。


これは教育の問題もあるかもしれません。また、本人の精神性も関係あるでしょうが、聴衆の問題もまたあります。


日本の聴衆には一音外しただけでその演奏家を否定するようなこともあります。某オケはそう行った環境の中で今の演奏スタイルが出来上がったなどと言われています。


また、演奏から聞こえる音楽性と個人の人間性を結びつけることも多々あります。

演奏でどんな音楽表現をしようが、それはその人の一面であり、ファンタジーの一つであって、その人自身を決めつける要素にはなり得ません。


単純に演奏と人間性を結びつけることは非常に危険だと思います。それによってその人の人間性も変わってしまうかもしれません。良い方に変われば良いのですが、大体は悪い方向に行ってしまいます。


教育でも「行動の制御」は良いけど「心理の制御」はしてはいけないと言われてます。

演奏家自身も安易に演奏の価値を自分の価値を結びつけず、失敗を恐れずに様々な行動を起こしていくべきと思います。

実際そう考えなければ私の精神はズタズタに壊れています。


その他、詳しいことは後ほど、何かで公開するかも。中身は結構具体的に演奏前のチェックリストを作ってどのようなことを考えていけば良いのか紹介しました。


さて、次回の日にちは調整中、九月にまた銀座アンクでやります。

この銀座アンクでのセミナーは演奏家にとってかなりお得です。

音大生は無料、演奏家は1000円で軽食、ドリンク付きです。

この前の食事はこれ!↓

見た目も味も素晴らしいアンクの料理を楽しめるだけでも良いと思います(笑)

セミナーとか言ってどんなこと言ってんだよ?って疑問に思ったらぜひ来てみてください。

次回の日にちが決まったら告知します。

それではまた!


蛯澤亮

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